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杭工事って何?工事を行う目的と杭の種類・工法を解説

2023年09月29日

杭工事とは、家などの構造物が傾かないように地盤に杭を打ち込んで地中で構造物を支える地盤改良工事です。
地震や台風などの自然災害に耐えられる建物を建てるためにも軟弱な地盤の敷地には杭工事が必要です。
ここでは、杭工事に関して詳しく解説しています。

杭工事って何?工事を行う目的と杭の種類・工法を解説

杭は地中に打ち込む基礎工事

杭工事とは、地下に杭を打ち込んで上物の構造物を支える基礎工事です。

構造物からの力を地盤に伝えて構造物を安全に支えなければならず、その役割を担っているのが杭です。
杭工事では、構造物を支えられるように「支持地盤」と呼ばれる深い地層部分まで杭を打ちます。

杭工事にはいくつか工法がありますが、敷地にかかる重みや土質などの条件を考慮して、工法や種類を選ばなければなりません。

杭工事の目的とは

杭工事の目的は「構造物が傾いたり倒壊したりしないように支える」です。
地盤が柔らかくて軟弱な場合、通常よりも強い土台がないと、災害により建物が崩れるリスクがあります。
日本は柔らかい地盤の地域が多く、杭工事を実施しなければならない場所が多いです。
また、地震などの自然災害も多いため、杭工事を含めた基礎工事によって構造物を支える必要があります。

杭工事で使う杭の種類|3つの視点から解説

杭工事は、「支持の取り方」「製造方法」「素材」の3つの視点でさまざまな名称が付けられています。
3つの視点から、それぞれの杭の種類を解説します。

支持の取り方

支持の取り方では、以下の2つに分類されます。

・先端支持杭
・摩擦杭

先端支持杭とは、杭の先端を支持層まで打ち付けて支える杭の名称です。
支持層までの中間層や軟弱な地盤や液状化の恐れのある地盤で効果を発揮します。

摩擦杭は、杭先端を支持層まで到達させずに摩擦の力を利用して構造物を支える杭です。
基本的には支持層が深い場所でなければ使用できません。

素材

杭の素材は「木杭」「鋼管杭」「コンクリート杭」があります。

木杭は、木材でできた杭です。
木材は酸素の少ない地下では腐食が進みにくいため、昔は日本の建物でよく使われていました。

鋼管杭は、高い耐久性を持った杭です。
溶接によって継ぎ足して杭を打ち付けるのも可能なので、高層ビルなどや地滑りのリスクがある地盤によく使われてます。

コンクリート杭は、軟弱な地盤で使用するコンクリートでできた杭です。
鉄筋コンクリート杭と無筋コンクリート杭の2種類あります。
鉄筋コンクリートの方が頑丈ですが、軟弱な地盤が浅くて杭を施工する範囲が狭いのであれば無筋コンクリートでも十分に構造物を支えられるでしょう。

製造方法

製造方法では「既製杭」「場所打ち杭」の2つに分類できます。

既製杭は、杭を工場で製作し、重機で現場まで運搬して使う杭です。
運搬の手間がありますが、工場で作られるため高い品質の杭を利用できます。

場所打ち杭は、現場に材料を運んで現場で製作して打つ杭です。
運搬の手間が省け、現場で細かい調整もできるので既製杭よりも応用できます。

杭工事の種類

杭工事には、「既製杭工法」と「場所杭打ち工法」の2つがあります。

既製杭工法は、既製杭を現場に運んで打つ工法です。
施工が簡単で工期の短縮が可能ですが、工場で製作できる杭の長さには限界があります。

場所杭打ち工法は、現場打ち杭を現場で打つ工法で、既製杭よりも柔軟に対応が可能です。
ただ、場所杭打ち工法には現場での工程が発生しするため、長い工期と費用が発生します。

この2つの工法はさらに細かく工法が分類されます。

既製杭工法|3つ紹介

既製杭工法の3つをご紹介します。

打込み杭工法

重機を使って杭を地盤に打ち込んで施工する工法。

杭を打撃するため振動と騒音が発生する。

埋め込み杭工法

中空部を通じて土を掘りながら杭を埋め込みながら設置する工法。

騒音・振動は打込み杭工法よりも少ないが、支持する力も少ない。

回転杭工法

先端部に羽を有する鋼管杭を回転させて地盤に打ち付ける工法。

騒音・振動も無しで施工可能。

地中に多くの固い石や異物が入った地盤では、羽が破損するリスクがある。

上記のように、騒音や振動が発生しやすいものと発生しにくいものがあり、現場の周辺環境や地盤の状態によって使い分けられています。

場所杭打ち工法|代表的な4つを紹介

場所杭打ち工法には以下の4種類があります。

オーバーケーシング工法

地面深くに筒型の機械を差し込み、掘った穴にコンクリートを打設する工法。

リバース工法

まずパイプを立て込み、回転体を使って掘る工法。

掘削で出た土砂は水と一緒に地上に吸い上げられ、深くて大きな穴を掘れる工法。

アースドリル工法

安定液を注ぎながら地面を掘削し、コンクリートを打設する工法。

安い費用で施工でき、工期も短い。重機等の準備も用意。

アースオーガ併用圧入工法

ドリル状のマシンで土を掘りながら、鋼矢板を埋める工法。

最もメジャーな工法はアースドリル工法です。

杭工事の流れ|事前の地盤審査が必要

杭工事を行う前に、ペーパーロケーションと現地調査で事前の地盤審査を実施します。
ペーパーロケーションは、地盤審査を行う土地の地形図や土地の生い立ちなどの情報を収集し、土地の状態を紙面上で確認する調査です。

現地調査はペーパーロケーションの内容を元に、現場で実際の状況を確認する調査です。
これらの地盤審査は、専門の調査会社に依頼し約5万円以上の費用を負担しなければなりません。

杭工事の流れは、工法によって異なるため、代表として回転杭工法を紹介します。

1.試験杭の位置を確認
2.杭打ち機設置
3.杭の位置を決める
4.杭を貫入する
5.設計深度付近で杭の貫入具合を確認する
6.貫入を打ち止めする

上記の流れで杭工事を行っていきます。

まとめ

事前の地盤調査と的確な工法による杭工事によって、建物が支えられています。
軟弱な地盤が多く自然災害の多い日本にとって、頑丈な建物を作るためにも杭工事は非常に重要な基礎工事の一つです。
これまで解説した内容を参考に、杭工事の理解をより深めていき的確な地盤調査と工事を行ってくれる業者に杭工事を依頼するようにしましょう。

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